対談:千村保文と夢請負人たち 2008年度総括

2008年10月から連載しております対談「千村保文と夢請負人たち」について、今回は「2008年度の総括」をしてみましょう。
2008年度は、OKIネットワークスの来住社長をはじめ、斉藤取締役、宮澤営業本部長と役職の方のお話を伺いました。また、業界人として有名なリックテレコム社・取締役の土谷宜弘様との対談も行いました。
皆様との対談のキーワードから、今後の日本の通信市場の可能性とOKIの通信事業の方向感を整理してみたいと思います。
[2009年3月24日掲載]
伝統を生かしつつ、若さでクラウド時代への変革を実現!
対談にご登場いただいた方のメッセージのキーワードを整理し、最後に総括してみます。
第1回登場のOKIネットワークス社長・来住 晶介は、分社化の狙いとOKIネットワークスの強みについて語りました。来住によると、新生OKIネットワークスはキャリアネットワークにおけるネットワーク同士の接続点、即ち「エッジ」に強みを有するとのこと。「エッジ」のプロダクトの例としては、キャリアネットワーク間を接続するセッションボーダコントローラ(SBC)があります。SBCはキャリアごとのプロトコルの差異を吸収して相互接続するための装置です。既存の回線交換装置や各種IPネットワーク製品を開発してきたOKIだからこそのプロダクトと言えるでしょう。また、企業ネットワークは、「ユニファイドコミュニケーション」に注力するとのこと。OKIのユニファイドコミュニケーションは、長年培ってきたPBXやビジネスホンの音声通信技術を核とした、VoIPやコンタクトセンタ、映像コミュニケーションとの融合にチャンスがあります。
第2回登場の取締役・斉藤 政利は、キャリアネットワークと企業ネットワークの融合は、両ビジネスの間を埋めることにチャンスがあると語りました。最近では、今後のキャリアネットワークは大きなクラウドコンピューティングリソースとして、アプリケーションソフトウエアやプラットフォーム機能をユーザに提供するようになるでしょう。クラウドコンピューティングは一般的に"ユーザがリソースの所在を意識せずに使える環境"を意図していますが、ネットワークがユーザにとってアプリケーションを雨のように、必要に応じて提供する雲のように見えることから「クラウド」と呼ばれるようになったとも言われています。そのひとつの雨として、企業ネットワークのサービスを提供することがより重要になるでしょう。斉藤の指摘する「キャリアネットワークと企業ネットワークの間を埋める」とは、固定的な汎用サービスではなく、クラウドが提供するオープンな機能を用いて、企業ごとのニーズを満たす新たなプロダクトやサービスを意味するのでしょう。その鍵は、今年創立128年を迎え、かつOKI創立のきっかけとなった事業である通信分野での、長年の技術・ノウハウの蓄積にあると考えます。
第3回登場の国内営業本部長・宮澤 透は、金融営業出身の経験を生かし、顧客課題を解決する営業目線で商品開発したいと語りました。これからの時代は、特定の汎用化された商品のみでは、企業の付加価値向上は望めません。そこで、オープンな技術をベースにしながら、お客様の課題に真摯に向かい合い、解決手段を提供する「営業発信商品」が必要になるでしょう。そのためには、宮澤の信条である「ダイレクトコミュニケーション」が重要です。この精神は、今後のOKIのユニファイドコミュニケーション商品に生かされてゆくでしょう。
第4回はリックテレコム社の取締役・土谷 宜弘様にご登場いただきました。土谷様は、2011年頃までに整備されるNGNやモバイルブロードバンドネットワークの活用が重要であると仰っています。通信市場発展の鍵は、ブロードバンドネットワーク上のプラットフォーム機能のオープン化にあります。これは、斉藤が注目する「キャリアネットワークと企業ネットワークの間を埋める」うえでの一つの視点でしょう。また、土谷様は、「過去を踏まえた"チャレンジ"と"チェンジ"」が、日本の通信ベンダにとって重要だろうと説きます。日本の通信ベンダが大事にしてきた品質への取り組みや顧客への細かい対応を今後も大事にしたブロードバンドサービスのあり方を考えるべきでしょう。

私は、OKIグループの一員であるとともに、国内外の標準化委員会などで、世界の通信分野の課題解決を行っております。そのような立場から客観的に現在の通信業界を鳥瞰すると、電話の発明以来、約100年をかけて発展してきた通信はIPネットワークというブロードバンドネットワークを生かした、新しいクラウドコンピューティングの時代に突入しています。今まで4回の対談を通して見えてきたことは、日本で最初に電話機を開発したOKIが、これからのクラウドコンピューティングの時代を乗り切るためには、「伝統」を生かしつつ、OKIネットワークスという「若さ」も生かし、今までのキャリアネットワークや企業ネットワークという枠にとらわれない取り組みこそが重要であるということです。OKIの取り組みが、今後も日本の、ひいては世界の通信業界にとって重要な試金石になるのではないかと思います。
2009年度の「対談:千村保文と夢請負人たち」は、OKIネットワークスの運営の中核である若手キーマンと対談する予定です。OKIネットワークスのより具体的な取り組みや「若さ」の一端をご紹介したいと思います。また、市場や技術の動向を見ながら、業界のキーマンにもご登場いただき、自由に議論していこうと考えております。引き続き、ご愛読をお願いします。
千村 保文(Yasubumi Chimura)
株式会社OKIネットワークス セキュリティ・アンド・モビリティビジネスユニット
エグゼクティブ・スペシャリスト
兼 OKI キャリア事業本部事業統括部 上席主幹
兼 OKI IP電話普及推進センタ(IPTPC) センタ長
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