コラム 「IPコミュニケーションの明日を読む」
第44回: 「新たなコミュニケーションの形への挑戦」

[2008年1月25日掲載]
執筆: 千村 保文(Yasubumi Chimura)
沖電気工業株式会社(OKI)
情報通信グループ セキュリティ・アンド・モビリティカンパニー
バイスプレジデント
兼 コーポレート戦略室 上席主幹
兼 OKI IP電話普及推進センター(IPTPC) センター長
最近の通信業界を代表するキーワードは、「ユニファイドコミュニケーション」です。電話やFAX、電子メール、チャット、テレビ会議など、様々なコミュニケーション手段を統合あるいは融合し、企業における生産性を向上させようという取り組みです。
このことは、企業活動において非常に重要です。電子メールの普及により、得てすると疎になりがちなコミュニケーションを改善することで、企業の活力は格段と向上するでしょう。そのために、情報通信技術を活用するということは、コミュニケーション・システムの究極の目標です。
しかし、ここでひとつ疑問なことがあります。「統合」や「融合」とは、何でしょうか?過去にも似たようなことを聞いた覚えがある人は多いことでしょう。
1988年に開始されたISDNサービスの正式名称は、「総合ディジタル通信網サービス(Integrated Services Digital Network)」です。英語の「Integrated(インテグレーテッド)」は「統合」、「結合」、「集大成」を意味しますが、ISDNでは「総合」と表現されています。ここでの「インテグレーテッド」は、音声やデータなどの各種サービスをディジタル通信網上で総合的に提供することを意味しています。すなわち、いくつかのサービスを同じお盆の上で「足し算」することを意味していると考えられます。
また、1990年代半ばから始まった「VoIP(Voice over Internet Protocol)」は、「IP Convergence(IPコンバージェンス)」と呼ばれるサービスのひとつです。この「Convergence(コンバージェンス)」という英語は、よく「融合」と訳されます。意味としては、IPネットワーク上で音声やデータを一緒に伝達することです。
だとすると、「インテグレーテッド」と何が違うのでしょうか?そう疑問に思うわけです。しかし、いくつかの辞書によりますと、「コンバージェンス」は「一点への集合」、「集中」、「収束」、「相似」を意味すると書いてあります。すなわち、「コンバージェンス」はサービスを一つに統合してゆく「方向性」を表現し、完全にではありませんが似たものに変化してゆく「状態」を示しています。一方、「インテグレーテッド」は、複数のサービスを足し算した「状態」であり、一つ一つのサービスは変わりません。
最近の「Unified(ユニファイド)」は、何が違うのでしょうか?
「Unified」は、「Unify」の形容詞です。「Unify」は、「ひとつになる」、「一体化する」を意味します。すなわち、「コンバージェンス」がさらに進化し、一つの新たなモノとして生まれ変わることを指していると私は考えます。
「ユニファイドコミュニケーション」は、単に電話やFAX、電子メール、チャット、テレビ会議を「統合」するのではなく、人間が使いやすい新たな形に生まれ変わることを意味します。いわゆる、「ユニバーサルデザイン」が要求されます。そのとき、ダイヤルひとつで誰とでもつながる電話のインターフェースは、100年以上に亘って世界中で利用されてきた「ユニバーサルデザイン」として、「ユニファイドコミュニケーション」の基本となりながら、少しづつ変化してゆくことでしょう。
そういえば、昨年の1月には「iPhoneの衝撃」というタイトルで、このコラムを書きました。iPhoneは、携帯電話のユーザーインターフェースの考え方を大きく変えました。しかし、よく見ると、電話における「指先ひとつで操作する」というコンセプトを電子メールやその他アプリケーションに応用しているとも考えられます。

世界の通信業界は、IPネットワークでの「コンバージェンス」の時代を経て、「ユニファイドコミュニケーション」という新たな「コミュニケーション」を模索しています。日本のVoIPは、世界のトップランナーとして高品質なコミュニケーション・システムを構築してきました。日本のVoIPから新たなコミュニケーションの形を創造してゆくことにチャレンジしてゆきたいと思います。
OKIは2008年1月23日に、“OKIのユニファイドコミュニケーション「C3コンセプト」”と題し、IPテレフォニー製品の新たな取り組みについて発表しました。
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